前回の生産ロットの判別につづき、今回は「裾の仕上げ方」についてご説明したいと思います。
結論からすれば初期の方はシングルステッチ、後期はチェーンステッチ、そして新レアでは初期に戻ってシングルステッチになっています。
それを実際にその現物画像を見ていきましょう。
まずは最初期となるXAロットから。
見て頂くとわかるように、シングルステッチで仕上げられているのがわかると思います。
しかし一方XOロットの裾を見てみるとシングルステッチではなく、チェーンステッチで仕上げられています。
現在確認している段階では、XKからXNの間にシングルステッチからチェーンステッチへと切り替わっていることがわかっています。
この理由を申し上げると、レアの場合ヴィンテージジーンズという概念が生まれる以前に、「日本における最高峰のジーンズを作ろう」というコンセプトから始まっており、裾がチェーンステッチというのは実は縫製の効率を上げるためにもともと生まれた仕様であって、耐久性から考えると実はほどけやすく、シングルの方がベターという考えのもとにシングル仕様になっています。
しかし90年代に入り、古着やヴィンテージに脚光が浴び始め、「裾のアタリ」にこだわりを持つ人が多くなりました。
穿き込むと斜めに走る綱のようなアタリがチェーンステッチ、さらにはユニオンスペシャルで仕上げると良いという定説が生まれ、それが現在でもひとつの基準となっています。
そういう世の中の流れもあって、レアも後期のロットからはチェーンステッチで仕上げるようになったと考えられます。
ちなみに今回の新レアでは初期レアの考えを継承して、シングルステッチでの仕上げとなっております。
(※しかも裾だけではなく、縫製すべての箇所が本縫いで縫われており、環縫いは一切使っていないのが最大の縫いの特徴!)
ただし見た目をよりシャープにするため、折り返し幅が極限まで狭くなっているのに注目です。
こうして分析をすると、おそらくNEW RAREを購入されて迷うのが、
「シングル・チェーンどちらで裾上げするべきか?」ということだと思います。
一般的に言うならば、シングルで仕上げているジーンズはシングルで、チェーンで仕上げているジーンズはチェーンで仕上げる方が素直な選択肢だと思います。
しかし個人的な観点から申し上げると、レアはやはりシングルの方が自分的には似合っているように感じます。
というのも前述したようにヴィンテージジーンズどうこうという概念が生まれる前に誕生したレアは、レプリカではなく、日本人の作る最高峰のジーンズを目指しており、またキバタに生じるネジレを数回洗ったあとに戻る特許技術「レンチプルーフ」も、“キッチリ”とした直角定規のような日本人の性質をよく表していて、ねじれやほつれを許さない日本のモノづくり美学がそこに見てとれるからです。
し か し 、やはり最後は好みです!
理屈うんぬんよりも、チェーンステッチによる綱アタリが好きか、シングルステッチによるハシゴアタリが好きか、それを決めるのも本人次第。
好きなアタリの方を選んでみてはいかがでしょうか?というのがひとつの結論です。
ということで次回、シングルステッチとチェーンステッチによってどのようにアタリ方が違うかを見てご判断していただければと思っています。
こんなお話は他では絶対に聞けない素晴らしいないようでした。次回の講習ものすごく楽しみにしています。ちなみに所有のXOは2本ともチェーンステッチでした。
投稿情報: sasurainowasi | 2010/11/11 20:09
楽しみにしていただきありがとうございます。
なかなかこうしてまとめる機会も少ないので、ぜひご覧になってお役に立てればと思います。
XOは後期に入るので確かにチェーンステッチになっていると思います。
こうしてもう一度お持ちのレアをご覧になってみるのも面白いですよね。
また次回の更新ご期待ください!
投稿情報: ナガミネ | 2010/11/12 16:26
革ラベルの色ですがXOでもかたや赤バッチ、もう一方は緑がかったこげ茶をしています。
緑がかったラベルはXAなど初期の色をしていますがこんな事ってあるのですね。
それとR005,6,7、R008の生地とR001,002,003,の生地はちがいますよね。
投稿情報: sasurainowasi | 2010/11/12 21:36
自分が書いた何故にシングルステッチ?という書き込みが記事になるとは。
ちょっとうれしいです。チェーンステッチ=良い。みたいな概念がありましたが
幅が狭ければ、どちらも良いアタリが出そうですね。
あと「にっぽんのジーンズ」という90年代半ばに出たムック本にレアジーンズが
取り上げられており、14.5オンスと表記されていますが初期レアはもう少し
低オンスかな?という印象を受けます。後期は16オンスくらいありそうな
印象ですが、ヘビーウエイトデニムが当たり前に出回っている現在、改めて
考えると13もしくは14オンスくらいが履きやすくて耐久性もあり一番ベストかなと思います。
投稿情報: マートン | 2010/11/13 20:59
sasurainowasi 様
革ラベルの違いについてですが、どうやらロットの違いというよりも、個体差の違いのようです。
職人さんがひとつひとつ染料をまぜてラベルにのせてつくっているのでどうしても違いが出てきて、端的にいえば1枚1枚個体差が発生してしまいます。生産ロットによってある程度の傾向は出るかもしれませんが、同じロットでも大きく違うものもあるので、それを見ながら購入するというのもひとつの面白い見方だと思います。
そして生地の違いですが、後期R001・R002とR005・R006・R007とは同じ生地ですね。後期レアのデッドストックの生地で作ったのがブラックラベルレアになるので。
そしてR003は単独に限定で作ったのでR003のみで、同じくR008も今回のために開発した生地なのでオンリーワンになります。
マートン様
いつかまとめてご説明しなけれなと思っていたので、ちょうどタイミングが良かったです。
チェーンステッチで裾上げすると斜めにアタリが出てヴィンテージ感が出るのですが、耐久性には乏しく、どこかが切れると一気に抜けてしまうおそれもあります。
なのでレアのような「にほんのジーンズ」の場合はシングルで仕上げる方が本当はしっくりくるので、私個人としてはシングルをお勧めしています。
ただしヴィンテージ色の強いジーンズの場合は、チェーンで裾上げされる方が似合うので、その場合はチェーンで裾上げするなど、ケースバイケースで使い分けるのが良いかもしれません。
オンスについてですが、生産ロットによって14.5〜15.0 ozの間で推移しているようです。
ヘビーオンスデニムも生地としての耐久性は高いのですが、縫製の方が先にダメージがいってしまう傾向があるので、穿きやすさと耐久性のバランスから言うとやはり12〜15ozなのかもしれません。
投稿情報: ナガミネ | 2010/11/15 10:26
R003は藍染で高価な逸品ですが僕の感覚としては藍染は色落ちがしにくく表情があまりありません。やはりジーンズは新品を履きこなしていって自分の表情を生地に反映させていくのが本当だと思います。そういう意味ではジーンズの定義においては高価な藍染よりインディコのほうがジーンズに一番ふさわしいのでは。
投稿情報: sasurainowasi | 2010/11/15 22:48
それと講座3のアタリが見れません。是非見れるようにしてください。
投稿情報: sasurainowasi | 2010/11/15 22:50
sasurainowasi 様
藍染めですとかせ染めになるため、糸の芯まで染まってしまうために通常のジーンズのような色落ち感は出ません。ロープ染色によって中白にしないと縦落ち感も出ませんね。
しかし今回のNEW RAREは藍染めの色を再現しながらもロープ染色で染めているので、風合いや色合いは本藍染めの良さを感じつつ、縦落ち感も楽しめるという美味しいところ取りをしたデニムになります。
講座3のアタリですが、こちらのパソコン数台を確認してみましたが問題なく表示されましたので、
何度かリロードされるとおそらく表示されると思います。
もしそれでも見れない場合はキャッシュを一度消して更新してみてください。
投稿情報: ナガミネ | 2010/11/16 09:58